パリから“ひと駅先”の名画鑑賞へ。元パリ在住ライターが紹介!2度目のパリ旅行で訪れたいシャンティイ城&ストーリーのある美術館など

2025年10月13日、大盛況で幕を閉じた「大阪・関西万博」。その「大阪・関西万博」の「フランス館」で、先日「オー・ド・フランス地域圏」の観光PR記者会見が行われました。

そこでフランス・パリに在住経験があり文化・芸術事情にも明るい「Voyage リーダーズ」のMikiさんが、実際に取材で会場へ。会場に集まった60人以上の記者とともに、来日した関係者のスピーチを拝聴。その日の様子と、洗練されたパリ近郊のおすすめ観光スポットをご紹介します!

「大阪・関西万博」でのフランス館の行列



「日本人の宿泊について、2024年は8,300泊に達し、2025年も増加傾向と報告を受けました」と話すのは「オー・ド・フランス地域圏」議会議長 グザヴィエ・ベルトラン氏。

そこで今回は記者会見のトピックから、首都パリから日帰りできるエリアの魅力をご紹介! 世界最大級のアート&ライフスタイル体験が凝縮されている芸術豊かなエリアで、”フランス旅行の+1日”を充実させてみてはいかがでしょうか?

「オー・ド・フランス地域圏」議会議長 グザヴィエ・ベルトラン氏や関係者
© Hirokazu Owada
Contents

記者会見で紹介された「オー・ド・フランス地域圏」おすすめの美術館3軒

1. ルーヴル・ランス(Louvre-Lens)

言わずと知れた、「ルーヴル美術館」の分館。「SANAA(妹島和世+西沢立衛)」設計の透明感ある館が象徴で、常設「時のギャラリー」は先史〜現代を横断して眺める、独自の見せ方が持ち味。2024年には新演出で再構成され、より流れるような時代体験に進化しました。

31 octobre 2024 : Vue Exterieure du Hall – Louvre Lens, Pas-de-Calais, Hauts-de-France – Photo : manuel cohen
 © 2024 Musée du Louvre-Lens Manuel Cohen

2. ラ・ピッシーヌ美術館(Roubaix)

旧市民プール(アール・デコ、1927–32)を再生した美術館。水・光・アーチが残る唯一無二の空間で、工芸・服飾・デザインの名品に浸れます。

© Alain Leprince Roubaix

 

3. マティス美術館(ル・カトー=カンブレジ : Le Cateau-Cambrésis)

マティス生誕地の県立館。2024年末に増床+再展示を終え、代表作から書籍まで作家世界を立体的に辿れる内容に。

musée Henri MATISSE,Le Cateau Cambrésis
© FLAMENT Anne-Sophie Le Cateau-Cambrésis


「シャンティイ城」を“旅の主役”に

そして「オー・ド・フランス地域圏」の中でも私自身が最も注目しているのは、「シャンティイ城」があるシャンティイ(Château de Chantilly)。「シャルル・ド・ゴール空港」から車で約20分・パリ中心から約40kmと“近郊”の利便性も魅力。実は、到着日の寄り道や帰国前の半日旅にも組み込みやすいエリアです。

  • コレクションの格:
    コンデ美術館は古典絵画の規模がルーヴルに次ぐとも紹介され、ラファエロなど珠玉作を擁する密度の高い展示。
  • 馬の都・シャンティイ:大厩舎では常設展示に加え、通年で馬術ショーを開催。躍動する騎乗芸と18世紀建築の荘厳さに出合います。
  • 甘美な余韻:クレーム・シャンティイの起源は諸説あり。城の名を冠したこのホイップは、デザートの主役にふさわしい“軽やかさとコク”で旅を締めくくります。
© Vincent Colin _Chantilly

フランスに詳しくない方でも、「凱旋門賞(現在は、パリ市内のパリロンシャン競馬場を使用)」、「ディアヌ賞」など有名でエレガントなホースレースの名前は聞いたことがあることでしょう。その名誉高き国際レベルのホースレースが開催されることでも有名な場所ですが、ホースレース以外でも馬と縁がある地域です。

2G4D3HH Racegoers attend the Prix de Diane at Chantilly race course, north of Paris, France on June 20, 2021.
Photo by Laurent Zabulon/ABACAPRESS.COM
© 2019 Alamy Ltd Abaca

「シャンティイ城」内にある「コンデ美術館(Musée Condé)」は、フランスでは「ルーヴル美術館」に次ぐ規模を誇る個人コレクションを有する美術館です。17〜19世紀の絵画を中心に、ラファエロやプッサン、アングルといった巨匠の名画が並び、特にラファエロの素描コレクションは世界的にも高く評価されています。豪奢な装飾のサロンや図書室も見どころで、フランス貴族の美意識と知の遺産をそのまま感じられる空間です。

Copyright Sophie Lloyd


ブティック「Boutiques du Château de Chantilly 」は、伝統と優雅さが息づくシャンティイの世界観を凝縮したブティック。エクスクルーシブな馬具ブランドや、アートピースのような限定アイテムが揃い、訪れる人を上質なフレンチエレガンスの世界へと誘います。

Copyright Christophe Tanière.jpg


さらに”馬の生きた美術館”として知られる「グラン・デクュリー(大厩舎)」があり、18世紀に建てられた壮麗な馬舎には約30頭の馬が暮らしています。ここではシャンティイ城の誇る馬術団によるエレガントなショーが定期的に開催され、音楽とともに繰り広げられる調和の取れた演技はまさに芸術そのもの。貴族文化と馬の優雅さが息づく、シャンティイならではの体験が楽しめます。

Copyright Sophie Lloyd
Copyright Sophie Lloyd


さらにシャンティイを訪れたらぜひ立ち寄りたいのが、「アトリエ・デ・クレーム(Ateliers de la Crème)」。この地の名物「シャンティイ・クリーム」を味わえるカフェ兼アトリエで、ふわりと軽く上品な甘さの生クリームは、まさに“食べる芸術品”。美術と馬、そして美味が出会う、シャンティイならではの贅沢な時間を楽しめます。

Copyright J.B.Quillien


これまで言及してきたように、シャンティイのエリアは、「芸術 × 庭園 × 馬文化 × 美味」が一体となった、まさに総合芸術空間!

2025年にはさらに、フランスのテレビ番組『フランス人が好きなモニュメント』で年間1位を獲得し、記者会見のため来日した「Anne Miller (アンヌ・ミレー、シャンティイ城 管理総責任者)」氏より、シャンティイはフランス国内での人気も折り紙付きであることが発表されました。

◆モデルコース(+1日で”濃縮アート”)
パリからシャンティイへは、電車で気軽に行けます。レンタカーでは心配で、タクシーやライドシェアサービスでは予算がオーバーとなる人でも安心できる行き方です。

A:日帰り美術館ホッピング(建築×展示)
午前:ルーヴル・ランス(建築と「時のギャラリー」体験)→ 午後:ラ・ピッシーヌ(アール・デコ空間で工芸・服飾)

アクセス参考:パリ北駅→ランス駅 約1時間10分(TGV)、リール→ルーベ 約30分(メトロ)。

B:シャンティイで“l’art de vivre”
午前:コンデ美術館 → 庭園散策(ル・ノートル設計のフランス式庭園ほか) → 午後:馬術ショー鑑賞 → ティータイムでクレーム・シャンティイ。

アクセス参考:パリ北駅→シャンティイ=グーヴィユー 最速25–35分(TER/RER D)。

パリの名所を巡り終えたフランスファンの方こそ、次のアバンチュールは北へ。

YouTubeチャンネル「MIKI TV」 ”MIKITV présente le Prix de Diane Longines 2014”より

”名館×名園×名馬×名菓”が一度に味わえるシャンティイを中心に、オー・ド・フランスで“濃い一日”を過ごすのはいかがでしょうか?ぜひ次回は今までと一味違う、洗練されたフランスの旅へ出かけてみては?



取材協力:Atout France – フランス観光開発機構

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Written By

九州生まれ、サンフランシスコ育ち。
18歳でパリへ移住し、フランスのカルチャーWebメディアでビデオジャーナリストとしてキャリアをスタート。

2010年1月からはハースト婦人画報社にてビデオプロデューサーを務め「ELLE ONLINE」「ELLEgirl」「メンズクラブ」など、多数の媒体で映像制作に携わり、エディターとしての経験も積む。

2013年1月より独立。
ファッション業界やWebメディアで培った知識を活かし、グローバルに活動を展開。

豊かな表情をトレードマークに、ファッションや美容ブランドの動画コンテンツ制作、広告制作、フランスのTV5mondeでのビデオジャーナリストとしての活動、SNS起業家のビジュアルブランディングなど、多岐にわたる分野で活躍。

ゴルフバッグとともに、世界中を旅している。

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