山梨県などが主催する「富士五湖自然首都圏フォーラム」は、『富士・カリフォルニア新時代の幕開け- Fuji-California AGES 構想』を、いよいよ始動! ”山梨県とカリフォルニア州主要5都市の国際連携による、先進的な行政、経済、社会の創出”をテーマに掲げ、フォーラム設立2周年記念イベントを開催。
「富士五湖自然首都圏フォーラム」とは?

富士山の「世界文化遺産登録 10 周年」を契機として、「富士五湖地域」を、新たな時代に求められる「自然首都圏」へと発展させていくことをめざし、令和4年12月に設立された産官学労社広民(※)の協働組織体です。
「自然首都圏」のコンセプトとは、豊かな自然、恵まれた自然の中で生活し、日々、余暇を楽しみながら、同時に、リモートワークを活用し、首都圏の民間企業や公的組織で働くことのできる、また、個人として働くことのできる、「新たなワーク・ライフスタイル」を実現する地域のこと。
※ 産業界・民間企業、政治・行政、大学・教育機関・研究機関、労働組合、社会貢献団体・NPO・社会起業家、メディア、国民・県民のあらゆるステークホルダーから参加を募っている。
第1部: 米国カリフォルニア州訪問 各種連携報告会

山梨県知事・長崎幸太郎氏とフォーラム会長・田坂広志氏が登壇し、3 つの国際コンソーシアム「富士五湖グローバル・ビレッジコンソーシアム」「富士グリーン水素コミュニティコンソーシアム」「社会起業家連携・先進行政コンソーシアム」に関する今年のイベント成果や事業進捗状況を報告。
「富士五湖グローバル・ビレッジコンソーシアム」では、これまでの取り組みとして世界 40 か国・800 人を超える学生達による、社会課題をテーマにしたアート作品を発表する国際イベント「Fuji-California Young Artists Expo」、世界中の若者が社会課題の議論を行う「Fuji-California Youth Leadership Summit」を開催。また、グリーン水素の実用化コミュニティを創出する「富士ハイドロジェンバレー構想」を掲げて活動していることを発表しました。
さらに第 3 のコンソーシアムとして、社会起業家との連携を通じて”先進的な行政”の実現を目指す「社会起業家連携・先進行政コンソーシアム」を立ち上げました。これらの活動報告を中心に、フォーラムのこれまでの歩みを振り返りました。
続いて、11 月の渡米の成果についても報告がありました。
1 富士五湖地域の 6 町村を代表した、ラグナビーチ市との友好都市提携の締結
(身延町、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町)
2 世界最大の水素利用推進組織 ARCHES の中核組織 Renewables100 との連携協定
3 水素製造企業 SGH2 Energy との連携協定
4 地球温暖化の世界的権威ヴィーラバドラン・ラマナサン教授との会合
5 地球温暖化対策国際会議 CRC2 サミット
6 全米の社会起業家支援組織 LARTA Institute との連携協定
7 クールジャパンセンター内に、県の拠点を開設
なかでも、山梨県が持つ水素エネルギー研究機関や富士山という観光資源、静岡県が強みとする医療機器や製薬産業との連携を通じ、両県の特色を生かした新たなプロジェクトに取り組むことや、水素関連の実験やアートイベントの共催、さらに社会起業家との連携を通じた”先進的な行政”の実現を目指すと説明。
長崎知事は渡米の成果について「3 つのコンソーシアムの分野でそれぞれ世界の最先端の団体との連携協定を締結し、本格的な活動に向けた環境が整ったところ。今後もカリフォルニア州との事業連携を深めていきます」と述べました。
フォーラム会長の田坂氏も「山梨県は国際的な注目を集めるプロジェクトを推進しており、今後、世界第 4 位の経済規模を誇るカリフォルニア州との全面的な提携を進めます」と語り、今回の発表を通じて山梨県とカリフォルニア州の協力関係をさらに強化し、国際連携を一層深めていく方針を発表。
第2部:富士新経済圏構想と Fuji- California AGES 構想についての三者鼎談
山梨県知事・長崎幸太郎氏、フォーラム会長・田坂広志氏、静岡県知事・鈴木康友氏が鼎談を行い、山梨県と静岡県が協力して地域の活性化を目指す「富士新経済圏構想」と、米カリフォルニア州との連携を推進する「Fuji-California AGES 構想」をテーマに意見交換を行いました。
「富士新経済圏構想」では、グリーン水素の普及やスタートアップ支援を両県で推進することが合意され、富士北麓地域で進行中の環境、芸術、国際交流をテーマとした取り組みに静岡県も参加することで、富士山を囲む両県が協力し地域の活性化を目指す方針を提示。
また、「Fuji-California AGES 構想」では、米カリフォルニア州の水素関連技術を持つ団体や企業との連携を通じて、富士地域を中心に水素社会の実現を目指す意向が示されました。これに対し鈴木知事は「山梨県の優れた水素エネルギー研究技術を活用し、静岡県が力を入れる医療機器や製薬分野との強みを融合させたい」と述べ、両県が水素関連の実験的取り組みやアートイベントで協力し、社会起業家との連携を通じて「先進的な行政」の実現を目指していくことを確認。
プロジェクトに対する「Voyage」の視点と今後の期待

以上、3名の登壇者の方々によって、山梨県内の水素エネルギー研究機関(施設)や富士山という観光を活かすことへ希望が見出せる発表の場となりました。
「Fuji-California AGES構想は、単なる地方創生ではなく国家的プロジェクトであり、グリーン水素による持続可能な経済を目指しています。いかにグリーン水素を広めていくかを大事にしている中、世界第4位の経済規模を誇る米国カリフォルニアと全面提携が叶いました。(グリーン水素の実際の利用として、山梨、東京に留まらず、イギリス、インドなどでも使われている経歴があるそう。)
現在、グリーン水素の関連で共に動いている企業は多岐にわたり、今後グリーン水素が用いられた「富士トラム」を使った交通システム構想を考えているということも興味深い点です。

鈴木知事は、「LGX(ローカル・ガバメント・トランスフォーメーション)に力を入れていきたい」と考え、長崎知事は、「東京は現代を、京都は古き良き場所として人気だが、富士という地域を”未来の日本を体現する場所”にしていきたい」と考えているそう。
今後も、壮大な社会実験として、山梨県から始まる国を跨いだチャレンジ「富士・カリフォルニア新時代の幕開け- Fuji-California AGES 構想」から、目が離せません。