こんにちは、シンガポールの大学で日本語を教えながら、論語塾を主宰しているケーシー加藤万奈です。この「わたしの論語」というコラムでは、おすすめの論語を少しずつご紹介していきます。
論語には「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、根っこはとってもシンプル。ウェルビーイングな言葉の宝庫です。どうぞ、お気軽にお付き合いください。
【わたしの論語7】心を動かし、教養を身につけ、人生を楽しめる人になろう!
今回は、芸術による感動体験で心を動かすことこそ、教養の始まりであると説いた言葉をご紹介します。
泰伯 8-8
子曰く、詩に興り、礼に立ち、楽に成る。
現代語訳は、以下です。
孔子先生は言われた。
人は詩によって奮い立ち、礼儀によって行動し、音楽で人格を完成させる。
2,500年前、孔子の弟子達の必読の書は、中国最古の詩集『詩経』でした。『詩経』はもともと三千篇以上あった歌謡の中から、孔子が三百五篇を選んでまとめたとされる詩集です。
まず『詩経』を学び、精神や感情を昂らせ、感動を覚える。孔子は、詩を鑑賞できないようではいけないと語っています。この感動体験こそが、教養の始まりだと確信されていたのでしょう。
礼儀について知り、社会性を身につけるのは、それからでも遅くない。最後に、好きな音楽を聴くことを忘れないでいれば、人としての幅が広がり、さらに魅力的になる。
わたしたちも、好きな音楽を聴いて心を落ち着かせたり、やる気や元気をもらったりすることがありますよね。また、美しい文章や詩を読み、心が洗われたような思いになることもあります。でも、忙しいとつい芸術的なことから遠ざかり、心を動かすことを疎かにしてしまいがちです。
「社会生活も大切だけど、どうか、やらなきゃいけない“仕事”だけに集中しないで。全ては感動から始まる!楽しむことや、ゆるめることも忘れちゃいけないよ。そうやって人格は、作られていくんだから。」
孔子先生に、そう励まされているような気がします。
孔子の生きた2,500年前から時代は移り変わりましたが、詩や音楽を身近におき、日々の暮らしに取り入れることを忘れずにいたいですね。
ケーシー加藤万奈からのお知らせ


日時:2025年7月14日(月)
時間:14時・18時30分(開場:30分前)
場所:原宿 カーサ・モーツァルト
入場料:3,000円
予約:kotoba@saharu-k.com