こんにちは、シンガポールの大学で日本語を教えながら、論語塾を主宰しているケーシー加藤万奈です。この「わたしの論語」というコラムでは、おすすめの論語を少しずつご紹介していきます。
論語には「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、根っこはとってもシンプル。ウェルビーイングな言葉の宝庫です。どうぞ、お気軽にお付き合いください。
【わたしの論語8】身も心も美しく、文質彬彬を目指しましょう!
今回は、外見も内側も両方美しく整えることの大切さを説いた章句をご紹介します。
雍也 6-18
子曰く、質、文に勝てば即ち野。文、質に勝てば即ち史。文質彬彬として、然る後に君子。
現代語訳は、以下です。
孔子先生は言われた。
内容(質)が立派なのに、表現(文)が乏しければ、野暮になる。
逆に、外見ばかりが立派で実質よりも勝っていると、不自然で空々しい。
中身と外見との調和がほどよく取れていてこそ、君子だ。
「文質彬彬(ぶんしつひんぴん)」は、洗練された文明(教養)と素朴なもの(本来の資質)、外見と中身とが調和していることを表す四字熟語で、論語のこの章句に由来しています。均整が取れて美しいという意味の“ひんぴん”という言葉。上品でいて、かつ、少しコケティッシュな音色。その意味だけでなく、きれいな音の響きからもお気に入りの章句です。
わたしたちにとって、美容は欠かせないトピック。いつまでも美しくありたいものですよね。もちろん、「外見ばかり磨いても、中身がともなわなければ意味がない。」ということも、よーくわかっています。
逆に、「中身が良ければ、外見は関係ない。内容さえしっかりしていれば、表現や見せ方は、重要ではない。」という考え方もあります。
孔子先生は、どちらか一方になることを退け、両方が大切だと言っています。外見も中身も大切。せっかくの良い資質を持ちながら十分に表現しようとしないのも、いけない。そして、外見ばかりを飾り立てるのも違うよと。
中身は見えません。でも、その人の明るさ、優しさ、勤勉さ、誠実さ、知性や教養、ユーモアのセンス、経験から培われた身のこなし方などは自然と滲み出て、オーラのように輝きます。素敵だなと思う人は、外見だけでなく、生き方も素敵な気がします。
ケーシー加藤万奈からのお知らせ


日時:2025年7月14日(月)
時間:14時・18時30分(開場:30分前)
場所:原宿 カーサ・モーツァルト
入場料:3,000円
予約:kotoba@saharu-k.com