タイの北部最大の都市「チェンマイ」は、13世紀、ラーンナー王国の首都として栄えた古都。
約120もの寺院が点在する、タイ仏教信仰の中心地であるチェンマイ観光は、寺院めぐりや旧市街の散策が定番。さらに近年は、街中におしゃれなカフェやショップが増え、旅の楽しみが広がっています。
今回の記事では、チェンマイの基本情報とともに「Voyage」編集部メンバーが実際に訪れたおすすめのスポットを、モデルプランとして詳しくご提案します。
チェンマイの基本情報
チェンマイの基本情報(日本から、タイ・バンコクからの交通アクセス/時差)
バンコクから北へ約720km。バンコクから、バンコクのスワンナプーム国際空港、またはドンムアン空港から直行便で1 日約50便(所要約1時間20分)。日本からは関西国際空港からは直行便(タイベトジェットエア)があり、関西(大阪)〜チェンマイへの直行便(所要約6時間)があります。
また、タイと日本の時差は、たった2時間です。タイが2時間遅れています。時差が少ないので、身体への負担が少なく、思いっきり観光ができます。
バンコクからは鉄道・バスでも、チェンマイへ行くことができます。鉄道は、フアランポーン駅から1日約3本運行(所要13時間~15時間)バスは、北バスターミナル(モーチット)より(所要約9時間半~11時間)運行されています。
チェンマイの基本情報(気候・服装・ベストシーズン)
トレッキングやバード・ウォッチングなどは、乾季であり、花々が満開となる11月〜2月頃がおすすめ。とくに11月中にはチェンマイ・イーペン祭り(ロイクラトン祭り)が催されるので、お祭りと合わせてチェンマイならではの華やかさを体験することができます。寺院めぐりや伝統工芸品などは、年間を通じて楽しむことができます。
北部地方は山岳地帯だけに、昼夜の温度差が大きいのが特徴。チェンマイは、乾季の早朝は10℃くらいまで気温が低下。昼間は28℃ほどまで上がるので、温度差は約15℃にもなり、夜はかなり寒く感じられます。朝晩の気温差やエアコンの温度調整のために、必ず長袖を1枚バッグに入れておきましょう。
1日目・9:30 可愛い雑貨の宝庫♡ 週末マーケット「チャムチャー・マーケット」
「タイらしい可愛い雑貨が好き!」という方は、ぜひ”土日にチェンマイに滞在する”というスケジュールで現地へ。…と言うのも、週末だけ開かれるローカルマーケットが魅力的だから。
日本からチェンマイへ行く場合、深夜便でタイに向かい、バンコクから早朝に乗り継ぐパターンも多いでしょう。そんなとき、ホテルのチェックインまでの時間にぜひ訪れていただきたい場所が、ウィークエンドマーケット「チャムチャー・マーケット(Chamcha Market)」。名前は、広場の真ん中にあるチャムチャー(ネムの木/レインツリー)の木の下で開催されることに由来しています。
チェンマイ市内の東、サンカンペーン郡にある週末のみ(毎週土・日 09:00~14:00)開催され、50以上のお店が集結。
伝統工芸品の生産が盛んな地域で、手作りのアクセサリーやハーブ石鹸、草木染の服、靴や服、小物などがずらり。地域の活性化やまちづくりの一環として行われているそうです。
晴れた日は木漏れ日がキラキラと降り注ぐ、気持ちの良い場所。
食事をいただけるカフェやスタンドほか、チェンマイの伝統工芸品である傘の絵付け体験ができるお店などもあり、散策するだけでも楽しめます。
1日目・10:30 100年以上の歴史! タイ北部最大級の屋内市場「ワローロット市場」
ラーマ5世王時代(1868〜1910年)に作られた市場が「ワローロット市場(Warorot Market)」。「ワローロット」とは、当時のチェンマイを治めていたインタワローロット王の名前。彼が市場の建設費を提供した関係で名づけられました。地元の人々の間では、”カード・ルアン=最大の市場”として親しまれ、チェンマイ市民の生活になくてはならない存在になっています。
地下1階、地上3階建ての巨大な建物の中には、日用品、食料品、衣料品、雑貨、伝統工芸品など500店以上のお店がぎっしり!
観光客にとっても、北タイならではの食べ物やお土産が購入できておすすめ。(日本への持ち帰りが禁止されている食品もあるので、要確認)ローカルの人々の暮らしに触れながら、散策してみては?
隣接する山岳民族”モン族”市場で、美しい刺繍が施された小物探し
また、この市場周辺にはモン族(中国ではミャオ族(苗族)、タイではメオ族とよばれる山岳民族)の衣類や雑貨を扱う「モン族市場」もあります。彼らはもともと中国の山岳地帯で暮らしていたものの中国政府から迫害をうけ、ベトナム・ラオス・タイの山岳地帯に移り住むようになったそうです。
いかにもローカルな通りですが、繊細な手刺繍が施された財布、鞄、ポーチなどが所狭しと並び、バラマキ土産にピッタリ。
ステッチやアップリケなどさまざまな手法で施される伝統的な模様は、美しい1点ものでもあります! このような工芸品の販売は彼らの重要な収入源となっていますので、くれぐれも無理な値切り交渉などは慎みましょう。
夜市も開催され、雑貨・服・おもちゃ・食べもの屋台がぎっちり並び、賑わいを見せるそうです。
1日目・12:00 創業70年以上! 有名なカオソーイの老舗店「カオソーイ・ラムドゥアン」でランチ
北部の名物料理として有名な麺料理が、カオソーイ(ข้าวซอย)。まろやかなココナッツカレーのスープに卵麺(バミー)、その上に揚げた麺をトッピングしていただくものです。
この日のランチは、一日に500杯以上は売り上げるという人気店「カオソーイ・ラムドゥアン(Khao Soi Lamduan)」へ。
具材は、一番人気が鶏肉、そのほか豚肉、牛肉などから選べます。筆者はチキンをチョイス。2種の麺とまろやかなココナッツカレースープの絶妙な組み合わせは、辛いものが苦手な方にもおすすめ。
その他にも、「カノムチーン・ナムニアオ(ขนมจีนน้ำเงี้ยว)」という素麺に似たお米の麺にスープをかけて食べるものや、「サイウア(ไส้อั่ว)」というハーブの香りが特徴のスパイシーなチェンマイ風ソーセージ、チキンを添えたカレーピラフのような「カオ・モックガイ(ข้าวหมกไก่)」にも挑戦してみては?
1日目・15:00 ホテルへチェックイン後、スパへ(3軒のホテルスパ)
アジアのスパの拠点とも言える、タイ。旅の疲れを癒すにはスパがおすすめ。「Voyage」編集部のおすすめは、チェンクイン後、すぐの時間を有効に使って、街歩きへの英気を養うためにもホテル内のスパを堪能すること!
1日目・18:00 絶品の北タイ料理レストラン「キンラム・キンディー」でディナー
夕食は、チェンマイ旧市街から車で約30~40分の場所にある、自然あふれる落ち着いた雰囲気のレストラン「キンラム・キンディー(Kinlum Kindee)」へ。
店の名前はラーンナー語で”おいしいものをよく食べる”という意味で、本格的なタイ北部料理を堪能できます。ちなみに、ラーンナーとは、13~18世紀、タイ北部からビルマ、ラオスにかけての一帯に存在したタイ人の国家、ラーンナー王朝のこと。
敷地内にあるガーデンで摂れた新鮮な野菜やハーブを使った、タイ北部料理ならではのやさしい味付けが特徴です。
このお店では、初めていただいたタイ料理がいくつか。
タイ北部の郷土料理である「ゲーンハンレー(ビルマ風ポークカレー)」は、もともとはミャンマーから伝わってきた料理で、いわゆるタイのカレーのようにココナッツミルクが使用されておらず、辛さもマイルド。
「オンプー」というカニ味噌もいただきました。おそるおそるスプーンで口の中へ運ぶと…、まったく生臭さはなく、濃厚なバターのような風味。お酒に合いそうな味でした。
ほかの料理も総じて食べやすく、おいしかったです。(さすがミシュラン掲載店!)チェンマイ旧市街から少し離れて、ローカルの雰囲気に浸ってみては?
1日目・20:30 お土産探しの定番! 旧市街の「サンデーマーケット」へ
前述のラーンナー王朝時代に築かれた城壁内にあるのが、チェンマイ旧市街。城壁には5つの門がありますが、その中でも有名なのがターペー門で、撮影スポットとして人気。
毎週日曜日の夕方17時ごろから深夜24時ごろまでは、そのターペー門からラチャダムヌン通りの約1kmほど「サンデー・マーケット(Sunday Market)」が開催。開催中は歩行者天国となり、バラエティ豊かな露店で大賑わい!
この日は偶然にもチェンマイ市内で大きなお祭りが行われていたので、空いていたタイミングでラッキーでしたが、普段はまっすぐ歩けないほど混み合っているそう。チェンマイの夜はまだまだ終わりません。
通り沿いにはブティックホテルやレストランも並んでいます。私はタイらしい可愛いデザインのストールや、使いやすそうなカラーとサイズ感のカゴバッグを購入しました。日用品から食料品、アジアン雑貨やアロマ製品など、お土産にぴったりのアイテムが見つかるはず! 今回は立ち寄れなかったのですが、土曜日にはウアライ通りでサタデーマーケットも開催されています。
2日目・10:00 世界初の”銀の寺”「ワット・シースパン」へ(本堂内は女子禁制)
さて、2日目は午前中から寺院の観光へ。寺院を訪れるときはキャミソールや短いスカートなど露出の多い服装などはNGなので、あらかじめ羽織ものなどを用意しておきましょう。
サタデーマーケットが開催されるウアライ通りの真ん中あたりに位置する「ワット・シースパン(Wat Si Suphan)」は、世界で最初に銀で造られた、別名”銀の寺”と呼ばれるユニークな寺院。
このお寺は、遡ること1500年(仏暦2043年)、マンラーイ王朝ムアン・ゲーオ王の時代に、プラ・プッタパティハーン仏像を奉納するために建てられました。この寺院があるチェンマイのウアライ・コミュニティには銀細工の工房が多く、2008年に銀細工村の村人が本堂を銀で改修したことで、タイでも珍しい現在の銀一色の姿になったとか。
この寺院の一番の見どころは、銀細工職人が8年の歳月をかけて完成させた世界初となる銀の本堂(ウボソット)の内部と言われていますが…、本堂はラーンナー地方の決まりによって、女性の立ち入りは厳禁。内部には「プラチャオ・チェットゥー」という黄金の仏像が安置されています。
2日目・11:30 山頂にある天空の寺院「ワット・プラタート・ドイ・ステープ」
次の寺院は、チェンマイで最も有名で人気のある観光名所「ワット・プラタート・ドイ・ステープ(Wat Phra That Doi Suthep)」。
チェンマイ市街から約15km西にそびえる、標高1,080mのステープ山頂にある寺院。今から約650年以上前にタイ北部を統治していたクーナ王によって建立されたと言われています。チェンマイを代表する観光スポットで、この寺院に参拝しないとチェンマイを訪れたことにはならないといわれるほどの名所です。
入口の前には両側をナーガ(蛇神)に見守られた、名物の306階段が待ち構えています。でも、階段を登らずに往復ともにケーブルカーで行けるので、ご安心を。テラスからは市街地を一望! 天気が良ければ絶景ですね。帰りは歩いて景色を見ながら山を下りることも可能です。
普段は観光客で賑わう寺院ですが、筆者が訪れた日は、この寺院の高僧の誕生日だったそうで、たくさんの食事などが振舞われていました。寺院内で振る舞われる食事をいただくと、幸せが得られるとか。あたりには、さまざまな民族衣装をまとった方々がたくさん!
華やかな空間で、男の子たちのムエタイを元にしたダンス、北部の女性たちの伝統的なダンスなどを見ることができ、思いがけずチェンマイの文化にどっぷり浸かる貴重な時間に。
さて、見どころは、高さ約22mの黄金に輝く仏塔。美しい装飾が施された仏塔の中には仏舎利(仏陀の遺骨)が納められ、今も人々の篤い信仰を集めています。願いごとが叶うチェンマイ屈指のパワースポットとしても有名で、特に未年生まれの人にご利益があるとか。
またお堂ではお坊さんがお経を唱えながら、人々に聖水をかけて、手首に白い紐を結んでお祈りを。この紐はお守りにあたるもので、何か災いが起こったときや災厄が終わった時に自然に切れるそうです。ちなみにタイの男性のお坊さんは女性に触れることは禁じられているので、女性は自分で結ぶか他の方に結んでいただきます。
黄金の仏塔のまわりを蓮の花と線香を携えて祈りを捧げながら時計回りに3周し、その後線香と蓮の花をお供えします。蓮の花と線香のセットは境内入口にて販売されていて、旅行者でも体験できます。
2日目・12:30 おしゃれエリア「ニマンヘミン」の”映え”タイ料理レストランでランチ
タイ料理でしか味わえない、最も目を惹く素材といえば、紺碧のバタフライピー(蝶エンドウ豆)。タイ語では”アンチャン”と呼ばれています。
この日のランチは、特製の青いライスやヌードルで知られる評判のレストラン「アンチャン・ヌードル(Anchan Noodle)」へ。チェンマイのおしゃれタウンにあるレストランで、2020年にはミシュランプレートを獲得しているので味もお墨付き。
ライスやヌードルが、紺碧のバタフライピー(蝶エンドウ豆)の花で自然に着色。このお店のシグネチャーメニューは、やわらかい豚肉とスパイシーなソースで絡めて食べる”クイッティアオ・ムーヌム”。フォトジェニックなだけでなく、味も美味しく大満足でした!
青い色のバタフライピージュースやラテと組み合わせると、ブルーの色が映えるパーフェクトな組み合わせに。
2日目・14:30 ニマンヘミンエリアのモールやカフェを散策
コミュニティーモール「ワン・ニマン(One Nimman)」
2017年12月にオープンしたコミュニティーモール「ワン・ニマン(One Nimman)」は、最新のショップや人気レストラン&カフェが軒を連ねるトレンドスポット。
チェンマイのブランドやタイ産の商品が豊富に揃うほか、若手クリエーターがオリジナルアイテムを販売するポップアップや、アートイベントも頻繁に行われている、チェンマイのトレンド発信地です。
「ワン・ニマン」のチョコレートカフェ「スクッガ・エステート(Skugga Estate)」
居心地の良いカフェやレストランも多く入っていますが、筆者のお気に入りは夜遅くまでオープンしているチョコレートショップ&カフェ「スクッガ・エステート(Skugga Estate)ワン・ニマン店」。
チェンマイ郊外の山間部に250ライ(100エーカー)の農園を持つ親子が、コーヒービジネスを始めたのが始まりのブランド。本店は郊外のファームの中にあって、栽培、収穫、生産まで一貫して行っているとか。店内でも美味しいチョコレートなどが購入できます。
ドリンクはスクッガ・チョコレート、コーヒー、紅茶を中心に、種類は豊富。朝食と日中のフードメニューは、スクッガ・キッチンのペストリーやサンドイッチなど、夜にはタパスとワインが加わるなど、チョコレートだけでなく食事のオプションもたくさん!
今回は夜お茶で訪れましたが、閉店1〜2時間前は静かで落ち着いた雰囲気が漂っていて、居心地抜群でした。
| Skugga Estate
作業もリラックスも! とっておきのカフェ「Yesterday Café」@ニマンヘミン通り
最後に、同じくニマンヘミンにある、リラックスしながら作業ができるカフェもご紹介します。「イエスタデイ・カフェ(Yesterday Café)」は、日頃から世界中で居心地の良いカフェを探し求めている筆者も、店内に入った瞬間から、その居心地の良さに納得!
爆速のWi-Fi(パスワード制)、多くの電源、長居作業ができる居心地の良いソファ、豊富なメニュー、ほどよく薄暗い店内、開放感のある大きな窓、キレイなトイレ(隣接する同グループのホテルのトイレを利用)、営業時間の長さ…と、一人旅にも、女子旅にも、ワーケーションにも最適な空間です。
朝は7時、夜は12時まで営業しているので、お酒や食事をいただきながらの作業や、カジュアルなミーティングもOK。
2日目・19:00 ニマンヘミンで人気のタイ料理レストラン「トンテムト」でディナー
さて、夕食はまたまたニマンヘミンにあるローカルレストラン「トンテムト(Tong Tem Toh)」へ。
おしゃれなショップやレストラン、カフェがならぶニマンへミン通りから少し路地に入った場所に位置していますが、1号店はいつもタイの若者から観光客まで混み合っているそう。
今回は、Google Mapでタイ語のみでしか調べられないからか、“穴場”と言われている2号店へ。快適に食事がいただけました。
こちらでも、郷土料理のゲーンハンレー(生姜の効いたカレー) 、同じ北部のチェンライ県で広く食べられる料理「カノムチーン・ナムニャオ」などもオーダー。(実はチェンライではこのメニューのことを、「カオソーイ」と呼ぶこともあるそう!)タイ北部料理にしては珍しく辛味が強いですが、豚のスペアリブで煮込んだスープにトマトベースの自然な酸味が加わった、あっさりとした口当たりの料理です。もちろんフレッシュココナッツジュースもいただき、大満足。
山々に囲まれたタイの古都・チェンマイ。穏やかな雰囲気の中、日頃の疲れを癒しながらも、寺院からマーケットやカフェまで効率的に巡って、遊び尽くしてみては?
取材協力:タイ国政府観光庁