ここ数年、私たちの働き方、キャリアの創り方が随分と変わってきました。海外に長期で暮らす場合も、従来の海外留学や海外駐在、ワーキングホリデーのみならず、さまざま選択肢を取ることができる時代に。日本でも新型コロナウイルスの流行をきっかけに、PCひとつでどこでも仕事ができるリモートワークが広がったことは、記憶に新しいのではないでしょうか?
そこで今回は、日本からの距離、金銭面や気候面などからも長期滞在しやすい国であるタイのノマド事情をご紹介します。実は「Voyage」編集部Yは、ノマドワーカー歴、約17年…! ノマドなんて言葉がない頃からフリーランスライター業をしていたので、タイ・チェンマイのノマド事情には興味津々。今回は現地視察・取材してきた情報を、まるっとお届けします。
日本からバンコク、バンコクからチェンマイへの行き方は?
バンコクから北へ約720km。バンコクから、バンコクのスワンナプーム国際空港、またはドンムアン空港から直行便で1 日約50便(所要約1時間20分)。日本からは関西国際空港からは直行便(タイベトジェットエア)があり、関西(大阪)〜チェンマイへの直行便(所要約6時間)があります。
バンコクからは鉄道・バスでも、チェンマイへ行くことができます。鉄道は、フアランポーン駅から1日約3本運行(所要13時間~15時間)バスは、北バスターミナル(モーチット)より(所要約9時間半~11時間)運行されています。
世界中からノマド民が集うタイ、さらに2024年〜長期滞在が便利に!
これまで、デジタルノマド(IT関連の仕事などで収入を得ながら、長期で旅をするライフスタイルを実践している人々)が観光ビザでタイに滞在できた日数は、60日。
「長期滞在ビザ」というオプションもありましたが、かなり厳しい財政要件で取得が難しく、2023年に別の長期滞在プログラム「タイランドエリート」も取得費用が大幅に上がった背景があるなか、2024年6月1日からデジタルノマド向けの魅力的なビザ制度「デスティネーション・タイランド・ビザ」(D・T・V)をスタート!
要件はかなり寛大なもので、多くの方にとって取得しやすい内容です。
- 申請条件:20歳以上で自営業自営業orタイ国外の会社で働いている方
- ビザ有効期限:5年間
- 滞在可能日数:180日/1年
- 最低必要収入:規定なし
- 貯蓄証明:50万バーツ(約218万4,375円)の貯蓄があることを証明
※1万バーツ(約4万3,687円)の追加料金で、最大180日間延長可能
世界中のデジタルノマドにとって、寛大なオファーの1つとして注目されています。なお、ビザに関する詳細は、在東京タイ王国大使館、またはタイ王国総領事館へご確認ください。
旅メディア「TABIPPO」主催×タイ国政府観光庁協賛の旅イベントへ潜入
2024年8月31日(土)開催 の、「TABIPPO」が主催する日本最大級の人気旅イベント『BackpackFESTA in Thailand〜TRAVEL NOMAD DAY〜』。ここ数年、タイのバンコクで開催されていたイベントが、2024年は場所をタイ北部のチェンマイに移し、形を変えて開催しました。
会場はチェンマイ中心部に位置するラグジュアリーホテル「メリア チェンマイ(Melia Chiang Mai)」。
例年は、学生を主な対象とした内容となっていたようですが、今回はノマドを実践している方々、ノマドのような働き方を実践してみたい社会人の方に向けた内容が充実!
実際にノマドとして世界を旅しながら働いている方や、チェンマイで事業やノマド生活を行っている方々が登壇し、タイの魅力やノマドとしての生き方を発信。参加者同士も交流を楽しんでいました。
この場に参加している大学生は、すでに行動力やコミュニケーション力が高く、将来の旅業界を支えてくれるような方々ばかり。しかし、日本の異様に低いパスポート所持率からもわかるように、学生との対話からも”海外に行く人、行かない人の二極化がさらに進んでいる”という現状をひしひしと感じました。
チェンマイの印象を尋ねると「チェンマイは初めて来たけれど、なんだか懐かしい感じが落ち着く」、「山が見えて自然に囲まれているので、リラックスして過ごせる」「物価も安く住みやすい感じ。次回は長期滞在したい」などの意見がありました。
チェンマイがデジタルノマドに注目を集めている理由5つ
さて、実際に現地でノマド事情を視察して思うことは、チェンマイのワーケーション状況は、世界的に見てもかなり充実しているということ。チェンマイは、東南アジアのスタートアップ・ハブとして知られているとか。
注目を集めている理由としては、大きく5つの理由があるでしょう。
- 家賃・生活費など物価が比較的安い
- 治安が良い
- 時差が少ない(タイの時刻は、日本から−2時間)
- フリーWi-Fiや電源が使えるコワーキングスペース、カフェが多い
- 多くのデジタルノマド生活を送る外国人が住み、コミュニティに入りやすい
タイと日本の時差は2時間です。そのため、日本での勤務時間に合わせてオンラインでミーティングを行う場合も身体への負担が少なく、スムーズに仕事が進みます。2時間の時差を活用して、午後にアクティビティを楽しむなどの予定を入れることも可能です。
またチェンマイの街はコンパクト。チェンマイ国際空港から街の中心部までは車で約10~15分とスピーディにアクセスできる利便性も魅力です。
タイは欧米諸国や日本など、先進国の人々にとっては、まだまだ生活コストの低い国と言えるでしょう。タイ第2の都市・チェンマイは大都市のバンコクと比べても、まだまだ物価が安く、家賃や生活費を大幅に抑えながら生活ができます。
おしゃれストリート「ニマンヘミン」のコワーキング&カフェ3軒
さて、前述の3に関連することですが、チェンマイには、パソコン作業には欠かせないフリーWi-Fiや、電源が使えるおしゃれなカフェ、便利なコワーキングスペースがたくさん。
コワーキングスペースにはオンライン会議がしやすいブースがあったり、夜遅くまで仕事に集中できるデスクやチェアが用意されていたり、作業しやすい環境が充実。スタッフや利用者同士で顔見知りになれることから、世界中のノマドたちで情報交換やネットワーク作りもできそうです。
1 週間や1 か月の会員プランのほか、ドロップイン(1 日利用)もできる場所が多いので、短期滞在でも立ち寄りやすいですね。
とくに、チェンマイのおしゃれエリアである「ニマンヘミン」には、約1 kmにわたる表通りや、その通りから派生する数本のソイ(Soi=路地)の両脇には、民家に混じっておしゃれなブティックやカフェ、ギャラリーが並んでいます。
キャンプ @メイヤー・ライフスタイル・ショッピングセンター5F
スタイリッシュな外観の建物が目を引く、チェンマイ市内のフアイケーオ通り沿いにあるショッピングセンター「メイヤー・ライフスタイル・ショッピングセンター(MAYA Lifestyle Shopping Center)」の5Fにある「キャンプ – クリエイティブ&ミーティングプレイス・ハングアウトカフェ(C.A.M.P – Creative and Meeting Place Hangout Café)」は、ワーキングスペースとして、利用しやすい空間。
スペース内には無料Wi-fiサービスがあり、手軽に味わえる軽食やドリンクもあり、日中はかなり賑わっているようです。
イエロー・コワーキング@ニマンヘミンエリア
緑に囲まれたコワーキングスペース「イエロー・コワーキング(Yellow Coworking)」は、チェンマイ中心部のおしゃれタウン、ニマンヘミン(Nimmanhaemin Street)にあるプレミアムシェアオフィス。インキュベーター((起業や事業の創出をサポートするサービス・活動を提供する団体・組織)として、地元のスタートアップ企業を支援しているそう。
シェアオフィス、プライベートオフィス、ミーティングルーム、イベントエリア、防音Skypeブース、YouTubeストリーミングルーム、レクリエーションゾーン、その他デジタルノマド、リモートワーカー、IT駐在員向けのコワーキング施設を提供。
なんと畳のスペースもあるようで、日本人だけでなく欧米人にも人気だとか。
長時間寛ぎながら作業OK「イエスタデイ・カフェ」@ニマンヘミン通り
最後に、リラックスしながら作業ができる、チェンマイでも指折りの快適な作業カフェの一つ「イエスタデイ・カフェ(Yesterday Café)」をご紹介します。こちらは、チェンマイと日本を行き来するデジタルノマドのアートディレクター/クリエーターである、市角壮玄さんにおすすめいただいた素敵なカフェ。
日頃から世界中で居心地の良いカフェを探し求めている「Voyage」編集部メンバーも、店内に入った瞬間から居心地の良さに納得!
と言うのも、デジタルノマドに必要な爆速のWi-Fi(パスワード制)、多くの電源、長居作業ができる居心地の良いソファ、豊富なメニュー、ほどよく薄暗い店内、開放感のある大きな窓、キレイなトイレ(隣接する同系列のホテルのトイレを利用)、営業時間の長さ、フレンドリーなカフェスタッフ…と、デジタルノマドが求める、すべてが揃っていたからです。
さらに場所はトレンドのエリアである、ニマンヘミン通り。朝は7時、夜は12時まで営業しているので、お酒や食事をいただきながらの作業や、カジュアルなミーティングもしやすい、とっておきの場所です。
コワーキングスペースやカフェの選択肢が多いのもチェンマイの魅力です。次回は“仕事のお休みにタイ旅行”ではなく“仕事を持ちながら暮らすように”、タイ・チェンマイ滞在を満喫してはいかがでしょうか?
取材協力:タイ国政府観光庁