標高約700mの長崎・雲仙(うんぜん)温泉に佇む「界 雲仙」。「星野リゾート」の温泉旅館ブランド「界」のコンセプトである、”王道なのに、あたらしい。”を体現する温泉旅館です。
温泉の魅力と地域に根づくストーリーが滞在体験として編み込まれ、ロビー、トラベルライブラリー、食事処、硫黄の湯が香る大浴場、そして夜の静けさを楽しむラウンジまで、 “整える”ための導線が上質にデザインされています。
ご当地部屋「和華蘭の間」に滞在し、長崎の“交差する文化”を知る
「界 雲仙」の全 51室の客室が、地域の文化に触れることができる”ご当地部屋「和華蘭の間」”となっています。”和華蘭”とは、“和(日本)・華(中国)・蘭(オランダ)”が交差した長崎の歴史のこと。
部屋に入ると、畳や木のぬくもりの中にどこか異国の気配が漂います。色鮮やかなステンドグラスが使用されたパーテーション、長崎ビードロを使用した照明、長崎凧をモチーフにした波佐見焼き(はさみやき)など、和華蘭の要素が混ざり合った長崎文化から着想を得た多くの設えにうっとり。


入浴と休息を交互に楽しめる「客室付き露天風呂」
そして、この客室の何よりも大きな特徴といえば、プライベートな露天風呂&湯あがり処が、客室空間の半分以上を占めていること! 客室名も「露天風呂付き客室」ではなく、あえて「客室付き露天風呂」と名付けられているところが、とても粋ですね。

ただ“体を休める場所”というだけでなく、長崎の文化を存分に感じられるでしょう。

「界 雲仙」の”雲仙おひとり湯ごもり滞在(1泊2日)”を体験
今回「Voyage」編集部Yが体験したスケジュールは、こちら。
Day1:温泉いろは〜あご出汁しゃぶしゃぶ会席〜和華蘭ラウンジ
9:55 羽田空港発 → 11:45 長崎空港着
今回、筆者は東京から長崎・雲仙へ。到着後は空港内でランチを済ませ、送迎バスまでの時間をゆっくりと過ごしました。
13:50 長崎空港発(送迎バス・予約必要・有料)
雲仙へ近づくほど、緑と硫黄の香りが濃くなっていくのを感じます。


15:00 界 雲仙へ到着→ チェックイン
ロビーへ入るとすぐ、館内の至るところに「和・華・蘭」のエッセンスをが散りばめられていることに気づかされます。

15:30 館内を散策(ロビー・トラベルライブラリー・食事処・大浴場)
滞在の動線を理解することで、以後の過ごし方がぐっと快適に。さっそく大浴場「湯小屋」へ。泉質や入浴時間、湯上がり処の過ごし方なども事前にチェックして入ります。


大浴場の内風呂は、源泉かけ流しの「あつ湯」と心身ともにリラックスできる「ぬる湯」の2つの浴槽があります。泉質は、酸性で鉄を含む単純温泉。濁った色味が特徴的です。

露天風呂は、地獄の湯けむりを眺めながら、雲仙温泉の恵みを堪能できます。

雲仙の硫黄泉に入っていると、身体の芯から温まり、緊張が静かにほどけていくよう。入浴後は湯上がり処でクールダウン。


16:10 温泉の入り方・楽しみ方を学ぶ入門プログラム「温泉いろは」に参加
正しい温泉の入り方やマナー、泉質の特徴など、“知っているようで知らなかった”温泉の基本をおさらい。ここで得た“いろは”を知っておくと、その後の入浴体験がより充実したものになります。(宿泊者:無料)


温泉について知識を深めると、お部屋にあるお風呂にも早速入りたくなり、夕食の前にも足湯を。

鎖国時代、貿易品の砂糖が豊富だったことから、菓子文化が花開いた長崎。本プランでは入浴前後の糖分補給として、室町時代に西洋諸国から長崎に伝えられた「南蛮菓子」を揃えたお菓子セットが用意されています。
オランダ語で”あえて何もしないこと”、”目的を持たずに時間を過ごすこと”を意味する”ニクセン文化”に浸りながら、長崎の和華蘭文化にちなんだ贅沢なひとり時間を過ごせます。


レトロなパッケージや懐かしい味わいを感じながら少しいただき、残りはお土産として自宅でも旅の余韻を楽しむことができました。
17:30 夕食「あご出汁しゃぶしゃぶ会席」に舌鼓
夕食はプライベート感が保てる半個室のお食事処で、旬と地域の魅力の両方を堪能できる会席料理をいただきます。
メインは「あご出汁しゃぶしゃぶ」。「あご」とはトビウオのことで、正月のお雑煮で使用するなど、長崎ではとても親しみのある食材です。軽やかで上品でありながら旨みたっぷりのあご出汁に、河豚や豚肉をくぐらせて、出汁とともにいただくお鍋。
途中で、柚子の皮に醤油、砂糖、胡椒などを加えて煮込んだ伝統調味料「ゆべし」を加えて“味変”するのもおすすめだそう。鍋料理の締めには、五島うどんを入れ、最後の一滴まであご出汁を堪能しました。(※メニューは季節などによって変更あり)




21:00 修復ガラスの光で彩られた「和華蘭ラウンジ」で、ミルクセーキを堪能
夕食後の時間帯(21:00~23:00)は、なんと「トラベルライブラリー」がレトロな魅力あふれる「和華蘭ラウンジ」に !
世界文化遺産「大浦天主堂」のステンドグラスの修復を唯一手掛けるガラス工房「瑠璃庵」から譲り受けたステンドグラスの端材に、光と万華鏡の演出を融合させた幻想的な空間にうっとり!

静謐な空気の中で、長崎らしい一杯をいただくなら「ステンドグラスカクテル(税込¥ 900)」がおすすめ。お酒が弱い筆者は「ミルクセーキ(税込¥800)」をいただきました。これら2点は有料メニューですが、ラウンジの利用は無料。長崎の深い歴史とガラスの優美な輝きを感じながら本にゆっくり向き合うことで、夜の時間が豊かになります。

21:30 部屋に戻り、ゆっくり湯浴みを堪能
さて、1日の終わりには「客室付き露天風呂」をじっくり堪能。湯浴みグッズを使いながら、目の前の雲仙地獄の湯けむりを感じ、思う存分、出たり入ったり。 ゆらめく湯けむりや自然に囲まれた景色を眺めながら湯船に浸かることで、自分自身と向き合う時間に。水分補給をしながら、ときおり読書にふけるのも贅沢。


Day2:現代湯治体操〜具雑煮朝食〜オリジナル扇子作り&ご当地楽「活版印刷体験」
6:50 現代湯治体操(無料・自由参加)
翌朝は、緩やかな動きで呼吸を整える朝のプログラム「現代湯治体操」からスタート。この日は晴れていたので「界 雲仙」のある「雲仙天草国立公園」の高台で、ストレッチと体操を行います。 「雲仙天草国立公園」は、日本初の国立公園のひとつ。美しく整備された由緒ある公園です。

7:30 雲仙温泉パワーウォークに参加
その後は、ちょっぴりハードなエクササイズ「雲仙温泉パワーウォークに参加。雲仙地獄(※)を早歩きでサクサク巡りながら、体全体を動かすストレッチやエクササイズを行う新感覚アクティビティ。足元は足袋。足袋から伝わる地熱を感じながら、地獄ならではの熱気や硫黄の香りの中、早歩きで雲仙地獄を散策します。
※水蒸気などを含む白い煙をあげている噴気地帯のこと


パワーウォークの最後は、地熱を感じながらのストレッチ&ヨガで、自分を解放。


9:15 長崎の郷土料理を味わう朝食「具雑煮朝食」を堪能
「界」の朝食は、地域色を感じる食材や調理法を取り入れているのが特徴。この日は、具だくさんで滋味深い長崎の具雑煮をメインに、朝から身体にやさしいエネルギーをチャージ。
具雑煮は具だくさんの雑煮として親しまれ、かつて天草四郎が島原の乱の際に仲間たちの気力や体力を養うためにふるまったとされている歴史ある郷土料理です。ほかにも、焼き魚や牛の生姜煮、トマトのジャムをのせた自家製のヨーグルトなどが並びます。(※メニューは季節などによって変更あり)


10:00 オリジナル扇子作り & ご当地楽「活版印刷体験」
さて、長崎は活版印刷のはじまりの時でもあります。今回体験したプランでは、活版印刷のルーツを学んだあと、オリジナル扇子作りと、活版印刷体験をセットで楽しみました!


手先に集中しながらクリエイティブな作業に没頭することで、なんだか頭がすっきりクリアに。活字を組む手作業や、刷り上がりの瞬間の高揚感は、クラフトの本質的な面白ささそのもの!


扇子やポストカードを作りましたが、“持ち帰る記憶”が形になるのも嬉しいポイント。ちなみに「よかばい」は長崎弁で”良いよ””いいね”という意味です。長崎では何かを褒めたり、同意したりする時に使うのだとか。


「疲れがなかなか取れない…」と感じている方こそ、「界 雲仙」で雲仙地獄のエネルギーに触れながら、部屋で温泉三昧のひとり旅に興じてほしいもの。温泉とともに美味しい食事や異国情緒にあふれた長崎の文化を丁寧に味わって、自分自身をいたわってみてはいかがでしょうか?
界 雲仙
所在地 :〒854-0621 長崎県雲仙市小浜町雲仙321
電話 :050-3134-8092(界予約センター)
客室数 :51室
雲仙おひとり湯ごもり滞在(1泊2日)プラン詳細
料金 :1泊 28,000円~(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込、夕朝食付)
アクセス:JR諫早駅より車で約1時間、長崎空港より車で約1時間半