こんにちは、シンガポールの大学で日本語を教えながら、論語塾を主宰しているケーシー加藤万奈です。この「わたしの論語」というコラムでは、おすすめの論語を少しずつご紹介していきます。
論語には「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、根っこはとってもシンプル。ウェルビーイングな言葉の宝庫です。どうぞ、お気軽にお付き合いください。
【わたしの論語6】考えることとセットじゃないと、勉強しても意味がない!
先日、『御上先生』というテレビドラマを観ていたら、「考えることとセットじゃないと、勉強しても意味がない」という台詞がありました。とっさに、「これ、孔子先生も言っていた!論語だ!」と思いました。
為政 2-15
子曰く、学んで思わざれば即ちくらし。思うて学ばざれば即ち危うし。
現代語訳は、以下です。
孔子先生は言われた。
書物や人から学んだだけで自分で考えることをしないと、何もはっきりとはわからない。
1人で考えているだけで広く学ばなければ、狭く偏り、独断的になる。
日本やアジアで、しばしば問題視される“詰め込み教育”。テストに受かるためだけにする試験勉強。
その癖が抜けないのか、私自身も、“時短”で一気に調べただけで、わかった気になってしまうようなことがよくあります。
この章は、知識を集めることだけに必死にならずに、それを基に、自分なりに筋道を立てて考えることこそ、学問の基本だと気付かせてくれます。また、1人で悶々と考えてばかりの頭でっかちにならずに、時には、人に聞いたり、本を読んだりして広く学ぶことこそが知性だと教えてくれます。
学びつつ、思案すること。思索しながら勉強を進めること。このバランスの重要さは、現代でもそのまま通用する真理ですね。