こんにちは、シンガポールの大学で日本語を教えながら、論語塾を主宰しているケーシー加藤万奈です。この「わたしの論語」というコラムでは、おすすめの論語を少しずつご紹介していきます。
論語には「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、根っこはとってもシンプル。ウェルビーイングな言葉の宝庫です。どうぞ、お気軽にお付き合いください。
【わたしの論語9】2025年の終わりに
冬の風景というと、葉の落ちた白樺に雪がちらちらと舞う様子が目に浮かびます。今日は、そんな冬の樹木に例えて、人の本質について語った孔子の言葉をご紹介します。
子罕9-29
子曰く、歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るることを知る也。
現代語訳は、以下です。
孔子先生は言われた。
寒さの厳しい季節になってはじめて、松や柏が枯れないことがわかる。
「あっという間に、2025年がもう終わってしまう」
そんな風に思っているのは、きっと私だけではないはず。常夏のシンガポールに暮らしていると、師走という感覚もなかなか持ちづらいのですが、日本は、寒さが厳しくなってくる頃でしょうか。
松や柏は、周りの木々も青々と生い茂っているときには、あまり目立たない樹木かもしれません。しかし、寒い季節がやってきて、周りの木々が次々と葉を落としはじめたときに初めて、冷たい風にさらされながらも、緑の葉を付けつづけている常緑樹ならではの強さがわかります。
今回ご紹介したのは、季節が変わっても、枯れたりしぼんだりせずに変わらず生きていく姿を人の姿に重ね合わせた句。
”逆境にさらされたときに、人の本質が現れる。”
この言葉がもとになり、苦しいときに態度を変えない人を「松柏の質」と言うようになりました。
孔子先生に、「ピンチのときこそ、人の真価が問われるんだよ」と言われている気がします。
2025年さまざまなことがありました。来年も、新たな挑戦があると思います。大変なときにこそ自分にがっかりしない選択ができるよう、新しい年も、何気ない毎日を大切にしていきたいですね。



