奄美大島で見つけた、“また帰ってきたい”と思う理由 「Booking.com」“日本で最も居心地の良い都市 2026”を旅して

「また来たい場所」と、「また帰ってきたい場所」は、少し違う。

旅先で美しい景色に出会ったり、素敵なホテルに泊まったりすると、また訪れたいと思う。でも、そこに流れる時間や人の温かさにまで心をほどかれたとき、その場所はいつしか「帰ってきたい場所」になる。

鹿児島は、私が生まれた場所。

桜島を望む街も、屋久島の深い森も、そして奄美の島々も、同じ鹿児島にありながら、それぞれにまったく異なる表情を持っています。故郷でありながら、旅をするたびに新しい発見がある。私にとって鹿児島は、そんな場所です。

今回訪れたのは、「Booking.com」が発表した2026年の“日本で最も居心地の良い都市”10選に、2025年から2年連続で選ばれた奄美市。

Booking.comによる「おもてなしバトンリレープロジェクト」の奄美大島編に参加し、美しい海を眺め、島の食を味わい、森を歩き、島で暮らす人たちと言葉を交わす3日間を過ごしました。

そこで感じたのは、奄美の「居心地の良さ」は、きれいな景色や素敵な宿だけで生まれるものではないということ。

長い時間をかけて守られてきた自然や文化。そして、旅人を近すぎず遠すぎない距離で迎えてくれる、島の人たち。そのすべてがゆっくりとつながり、いつの間にか「また来たい」を「また帰ってきたい」に変えてくれる。

今回は、そんな奄美大島の旅をお届けします。


Contents

「居心地の良い街」は、旅人のリアルな声から

「Booking.com」の“日本で最も居心地の良い都市”は、「Traveller Review Awards 2026」のデータをもとに選ばれています。

実際に予約・滞在した旅行者から寄せられたレビューをもとに、宿泊施設のホスピタリティが評価される仕組み。

2026年は、世界中から3億7,000万件以上のクチコミが寄せられました。今回選ばれたのは、こちらの10都市。

2026年「日本で最も居心地の良い都市」

高山市(岐阜県)
屋久島(鹿児島県)
奄美市(鹿児島県)
読谷村(沖縄県)
野沢温泉村(長野県)
富士吉田市(山梨県)
北谷町(沖縄県)
富士河口湖町(山梨県)
ニセコ町(北海道)
由布市(大分県)

東京や京都、大阪のような定番の観光都市とは少し違う場所が並んでいるのも印象的です。有名な観光スポットを次々と巡るのではなく、その土地で暮らすように過ごす。今の旅には、そんな時間を求める人が増えているのかもしれません。


奄美ではじまる、「暮らすように泊まる」旅

今回の旅で何度も耳にしたのが、「Booking.com」が提唱する“Home Hospitality”という考え方。

ホテルに泊まって観光地を巡るだけではなく、ヴィラや一棟貸しの宿を拠点に、旅先の日常に少しだけ近づいてみる。

Photo by : Miru Amami

奄美は、そんな旅がよく似合う場所でした。車を走らせれば海があり、少し進めば深い森がある。宿に戻れば、窓の向こうに広がる海を眺めながら、何もしない時間を過ごせる。リゾートの心地よさと、島の暮らし。

その両方が自然に混ざっているのが、奄美の魅力だと思います。


1泊目|海を見下ろす「Miru Amami」

Photo by : Miru Amami

最初に向かったのは、龍郷町芦徳の高台にある「Miru Amami」。

赤尾木湾を見下ろすようにヴィラが点在し、部屋の扉を開けた瞬間、目の前に海と緑が広がります。

プライベートプールに反射する光。木のぬくもり。窓の向こうに広がる海。上質なアジアンリゾートのような雰囲気がありながら、奄美の伝統建築からインスピレーションを受けたデザインが、周囲の自然にとてもよく、なじんでいました。

こういう場所に来ると、予定を詰め込むのがもったいなくなる。本を読んだり、プールサイドでぼんやりしたり。「何もしない」という贅沢を楽しみたくなります。

夕方には「The Ashitoku Oceanfront Shop ON SHORE」からサンセットクルーズへ。

海の上で夕日が少しずつ色を変えていくなか、三線の音色が聞こえてくる。まだ旅の初日なのに、もう少しここにいたい。そんな気持ちになりました。

夕食は館内のレストラン「AMANARI」へ。

奄美の食文化を現代の和食で楽しめるコースで、最初に登場したのは、かつて島の人々の命をつないだソテツの実「ナリ」の粉を使ったすり流し。

奄美近海の鮮魚やもずく、夜光貝、薩摩揚げ、鹿児島黒牛など、島と鹿児島の恵みが一皿ずつ続きます。

鹿児島生まれの私にも、懐かしい味と初めて知る奄美の味が入り混じるディナー。美しい海だけではなく、食を通して島の暮らしや文化に触れられた夜でした。


2泊目|海と空だけを眺める「伝泊 The Beachfront MIJORA」

2日目に向かったのは、笠利町の海岸線にある「伝泊 The Beachfront MIJORA」。

Photo by : 伝泊 The Beachfront MIJORA

奄美大島出身の建築家・山下保博さんが手がける「伝泊」のひとつで、コンセプトは「島の自然と対話する」。その言葉通り、ここでは建物そのものより、目の前の自然が主役です。

大きなガラス窓の向こうに海と空が広がり、時間によって光の色が変わっていく。奄美の伝統建築「高倉」を思わせる焼杉の屋根と、シンプルなコンクリートの壁。余計なものを削ぎ落とした空間だからこそ、波の音や風、空の色まで感じられます。モダンでシック。でも、不思議と緊張しない。むしろ、身体の力が少しずつ抜けていくような感覚でした。

併設の「2 waters」では、夕暮れの海を眺めながらディナーを。島野菜の小鉢に、喜界島の胡麻を使った地魚のカルパッチョ、島豚のラザニア、黒糖焼酎煮など、奄美の食材をモダンにアレンジした料理が並びます。

なかでも印象的だったのは、奄美らしい食材がイタリアンや洋食のエッセンスと自然に溶け合っていたこと。刻々と色を変える海を眺めながら味わう、島ならではの贅沢なディナーでした。

そして夜は、島に昔から伝わる酒席の遊び「ナンコ」を体験。ルールを教えてもらいながら笑って、負けたら一杯。こういう時間が、実は旅の記憶として一番残ったりします。観光名所を見ただけではわからない、その土地の空気。それに少し触れられた気がしました。

Photo by : Booking.com

次に泊まりたい場所も、もう見つけてしまった

旅をしていると、「次はここに泊まりたい」と思う場所に出会うことがあります。

今回それが、2026年5月に龍郷町にオープンした「SANU 2nd Home 奄美大島1st」。奄美の伝統建築「高倉」を現代的に解釈した9棟のキャビンで、屋根一体型の太陽光パネルや蓄電池も備えています。

自然を楽しむだけではなく、その自然をどう未来につないでいくか。奄美では、宿泊施設にもそんな考え方が少しずつ表れているように感じました。


「しあわせの島」という言葉

7月22日には、奄美市名瀬の「アマホームPLAZA」で「Traveller Review Awards 2026」の表彰式が行われました。「Booking.com」日本代表のルイス・ロドリゲスさんから、安田壮平奄美市長へ記念の盾が贈られます。

会場で印象に残ったのは、奄美の魅力を「自然が美しいから」という一言だけでは語らなかったこと。

自然。文化。人。そして、それらを未来へ残していこうとする人たちの存在。

安田市長が話していた「しあわせの島」という言葉も印象に残っています。少し詩的な表現にも聞こえるけれど、3日間を過ごしたあとに振り返ると、なぜかすっと腑に落ちる。

Photo by : Booking.com

伝泊・奄美イノベーション代表の山下保博さんからは、世界自然遺産として知られる森だけではなく、島に点在する約360の集落に残る文化や、そこに暮らす人たちのフレンドリーさについても話を伺いました。

奄美らしさを残すこと。それは、昔のままにしておくということではなく、この島らしい未来をつくっていくことなのかもしれません。


森の中で考えた、「守る旅」

旅の最終日は、金作原原生林へ。ヒカゲヘゴの大きな葉が頭上を覆い、木漏れ日が緑色のフィルターを通ったように降り注ぐ。歩いていると、まるで何千年も前の森に入り込んだような感覚になります。でも、ここで感じたのは「美しい」というだけではありませんでした。

金作原では、自然環境への負荷を抑えながら、安全で質の高いツアーを行うための利用ルールが設けられています。散策には奄美群島認定エコツアーガイドが同行し、一度に受け入れられる人数にも制限があります。効率だけを考えれば、もっとたくさんの人を入れることもできる。でも、森を守りながら、その価値を次の世代へ伝えるには、あえて「入れすぎない」ことも必要なのだと思います。

森の中の看板には、奄美固有の生き物たちや、外来種による生態系への影響、そして自然を回復させるために続けられてきた取り組みが紹介されていました。

歩いていると、ただ「きれいな森」だと思っていた景色の見え方が少し変わります。ここにある自然は、当たり前に残ってきたものではない。島の人たちが守り、取り戻してきたものなのだと知りました。


鶏飯と大島紬。故郷を、もう一度知る

森を歩いたあとの楽しみは、私の大好きな鶏飯。

ご飯の上に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、椎茸、漬け、刻み海苔。そこに熱々の鶏スープを注いでいただきます。さらさらと食べられるのに、ちゃんと満足感がある。そして、どこかほっとする。

奄美では来客をもてなす料理として親しまれてきた鶏飯ですが、鹿児島生まれの私にとっては、やっぱり「帰ってきた」と感じる味です。

これまで世界各地のレストランを取材してきたけれど、こういう味には、料理の評価だけでは語れないものがあります。記憶そのものが、味になっている。そんな感覚です。

その後訪れたのは、大島紬村。

泥染めの工程を見学しながら、実家の箪笥に眠っている母や祖母の着物を思い出しました。テーチ木(シャリンバイ)の煮汁で染め、泥田に浸す。その工程を何度も繰り返して、あの大島紬特有の深い黒と艶が生まれます。

子どもの頃には何も考えなかった一反の着物。でも、大人になって改めて見ると、その一枚に費やされた時間の長さに驚きます。

島の自然。職人の技。暮らしの知恵。そして、途方もない手仕事。帰ったら、実家の箪笥をもう一度開けてみよう。そんな気持ちになりました。

夜には奄美の黒糖焼酎も。島の食文化を知るには、やっぱりその土地の食卓を囲むのが一番です。


また奄美に戻りたい!

世界を旅しながら取材をしていると、つい「ここでしか見られないもの」「ここでしかできないこと」を探してしまいます。

でも今回、故郷・鹿児島の島を旅して、少し考え方が変わりました。

奄美の魅力は、何かひとつの観光スポットにあるのではない。
海がある。森がある。受け継がれてきた文化がある。心地よいヴィラがある。
そして、島で暮らす人たちがいる。その全部がゆっくりとつながっている。

だから、奄美では急がないほうがいい。予定を詰め込みすぎず、朝起きたときの海を眺めて、気になる道があれば少し寄り道をして、島の人に教えてもらった店でご飯を食べる。そんなふうに過ごすことで、少しずつ「観光する側」から「この島にいる側」へ近づいていくような気がします。

そして気づけば、「また来たい」ではなく、「また帰ってきたい」と思っている。

「Booking.com」が掲げる“日本で最も居心地の良い都市”という言葉を、今回の旅を終えて振り返ったとき、私が感じたのはそんな気持ちでした。

海の色が翡翠色に変わる瞬間に、深呼吸をひとつ。次の旅は、少しだけゆっくりと。自然と文化に身を委ねる、あなただけの島時間を探しに、奄美大島へ。

取材協力:Booking.com

Please follow us.
 If you like this post.

Please Share it♡

Written By

九州生まれ、サンフランシスコ育ち。
18歳でパリへ移住し、フランスのカルチャーWebメディアでビデオジャーナリストとしてキャリアをスタート。

2010年1月からはハースト婦人画報社にてビデオプロデューサーを務め「ELLE ONLINE」「ELLEgirl」「メンズクラブ」など、多数の媒体で映像制作に携わり、エディターとしての経験も積む。

2013年1月より独立。
ファッション業界やWebメディアで培った知識を活かし、グローバルに活動を展開。

豊かな表情をトレードマークに、ファッションや美容ブランドの動画コンテンツ制作、広告制作、フランスのTV5mondeでのビデオジャーナリストとしての活動、SNS起業家のビジュアルブランディングなど、多岐にわたる分野で活躍。

ゴルフバッグとともに、世界中を旅している。

Contents