「年のせいじゃない“もの忘れ”展」イオンモールかほくで開催|アルツハイマー病のサインを体験

2026年10月17日(土)・18日(日)の2日間、石川県かほく市のイオンモールかほくにて、アルツハイマー病の理解促進を目的とした体験型啓発イベント「年のせいじゃない“もの忘れ”展」が開催されました。

主催は日本イーライリリー株式会社。会場では、金沢大学医薬保健研究域 脳神経内科学教授の小野賢二郎先生によるトークセッションと、アルツハイマー病による“もの忘れ”を疑似体験できる「アルツハイム921号室」が登場しました。

認知症の約7割はアルツハイマー病。石川県の当事者は約9,000人

アルツハイマー病は、認知症全体の約7割を占める最も多い原因疾患です。

石川県のアルツハイマー病の当事者数は約9,000人と報告されており、決して他人事ではありません。

65歳以上の認知症の当事者は、2022年に443.2万人、2030年には500万人を超えると推計されています。

トークセッションで小野先生は、石川県内の調査では65歳以上の3〜4人に1人が軽度認知障害または認知症にあたるというデータを紹介し、参会者からは驚きの声が上がっていました。

原因は「アミロイドβ」。症状の15〜20年前から脳に蓄積が始まる

「“もの忘れ”は年のせい」とつい思ってしまいがちですが、小野先生によれば、正常な老化よりも速いスピードで認知機能が落ちてくるのが病気のサインなんだとか。

アルツハイマー病の原因の一つは、脳に蓄積するタンパク質「アミロイドβ」。

通常は睡眠中に排出されますが、溜まり続けると神経細胞が死に、脳が痩せていきます。しかも、その蓄積は症状が現れる15〜20年前から始まっているといいます。

チェック冊子で、脳からのサインをクイズ感覚で体験

会場では、質問形式で初期症状を学べるチェック冊子を使ったミニテストも実施。

「ひまわり・うさぎ・自転車」の3つの言葉を覚え、数分後に思い出せるかを確認する場面では、即時に言えても時間が経つと言えなくなる「近時記憶障害」が、アルツハイマー病の非常に早い段階から現れることが解説されました。

このほか、今日の日付や場所がわからない「見当識障害」、買い物の段取りが立てづらくなる「遂行機能の低下」など、日常に潜むサインが紹介されました。

「アルツハイム921号室」で、患者さんの日常を疑似体験

白と赤を基調にした「アルツハイム921号室」では、冊子で学んだサインが日常生活でどう見えるかを体感できました。

冷蔵庫には同じみそが3箱、マヨネーズやケチャップが2本ずつ。これは「昨日買ったのにまた買ってきてしまった」近時記憶障害の表れなんだそう。

花瓶には同じ花が3本、枯れた花がそのまま。カレンダーは部屋のあちこちに貼られていますが、よく見ると月が3月・4月・12月とバラバラ。

美容院の予約欄にはキャンセルの二重線が引かれています。壁には「火の元確認」「戸締り」の張り紙が何枚も貼られていました。

また、部屋のテーブルに置かれていたのが、不思議な「時計の絵」です。

時計の文字盤に見立てて数字を記入する、10時10分の針を書くというこれらの課題は、「クロックドローイング(時計描画)」と呼ばれる認知機能の評価法です。

一見シンプルな課題に思えますが、円や数字を正しい位置に配置するには、見たものを空間として把握する力(視空間認知)や、形を組み立てる力(構成能力)など、さまざまな脳の機能が同時に働いているそうです。

普段、時計の「12が上で6が下」という並びを意識することはほとんどありませんが、それを自然に正しく描けているだけでも、脳がしっかり働いている証拠。

この課題ができなくなると、日本地図を書いて石川県の位置を記すといった別の課題と併せて、認知機能の低下が疑われる指標になるとのことです。

早期なら治療でアミロイドβを取り除ける時代に

小野先生が強調したのは「早期発見・早期相談」の大切さです。

現在はPET検査や脳脊髄液検査、さらには血液検査でもアミロイドβの蓄積を捉えられる時代になりつつあり、軽度認知障害や軽度認知症の段階なら、アミロイドを取り除く治療の対象になり得るといいます。

「ご本人が『ちょっとおかしいかも』と言ってきたら、“年のせい”と思わず、よく耳を傾けてください。早めに相談すれば、長い目で見て介護施設への入所が遅くなるなどの社会的なメリットもあります」

と小野先生は来場者にメッセージを送りました。

心と体の健康を保ち、彩り豊かな人生を歩み続けるためにも、“もの忘れ”のサインへの気づきを、ぜひ自分と大切な家族の分まで持っておきたいもの。

まずは「年のせい」で片づけず、一度立ち止まり、振り返る時間を持ってみてはいかがでしょうか。

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